2002年6月アーカイブ

歌の焦点

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「紫陽花をカメラに収むシルバーの淡き残り香われを魅了す」 (多祢子さん2002/06/26

短歌は一首で対象の状況から言いたいことまで詠まなければなりません。主題は一つに絞ることが必要でしょう。
 この歌だけから添え書きに言われていることを読み取るのは不可能ですね。「シルバー」とは、添え書きによれば初老のご婦人のことなのですね。それが解かっても、歌の前半と後半が意味的に繋がりません。こういう時は、紫陽花の美しさに惹かれてシャッターを切りつづけたことと、紫陽花に魅入られるように眺め尽くす初老のご婦人に爽快感を覚えたこととを分けて、二首連作として詠まれるといいです。もちろん、それぞれが独立、つまり短歌として鑑賞に耐えることが前提です。短歌は字数制限が厳しいですから、無理して二つの主題を一首に詠もうとされると、焦点ボケにもなり、歌としてもすっきりしないものになりますから。

「音もなく青虫食める迅きこともし聞こゆればさぞ響くらむ」  (桐子さん2002年6月17日

青虫がクチナシの木の葉を食べてしまうのですね。それも迅速に!たしかに、そんなことで花が咲くものか心配になりましょう。いや、蕾があるのだから大丈夫なのでしょうが。
 この歌、「もし聞こゆればさぞ響くらむ」が意味をほとんど成さないのが惜しいですね。「もし聞こゆればいかに響くや」ならいいでしょうが。

添削:
「青虫の木の葉を喰らふ迅さ見えガリガリガリとしづかに響く」 (桐子)

(音はせず、食べられて木の葉が見る見る減って行くだけですが、貪欲な食べっぷりに、音さえ聞こえてくるようだ、の心です。)

追加詠:
「青虫がクチナシの葉を食ひ尽くし蕾残れど花成すや否や」 (桐子)

実はこの歌 投稿直前にこのように詠みかえてしまったのですが、初案は

「青虫の食める迅さに音あらばバリバリバリとさぞ響くらむ」

だったのです。青虫が あまりにも勢いよく食べるのでもし音があるのなら 葉っぱから 突然すごい音が聞こえるのではないかと そう思ったのです。
繋がり具合から 「さぞ響くらむ」の使い方は如何でしょうか?

ということは、初案は添削歌に近かったわけですね。しかし、この初案では青虫が何を食べているのか解りませんね。「さぞ響くらむ」の表現はいいと思いますが。。。(添削歌で「ガリガリガリ」としたのは、青虫の葉の食べ方は口にくわえてバリバリバリと食べるというより、縁から削るように食べる印象だからです。いわば、葉っぱを縁の方から順に削り取る擬音語です。)

「ポクポクと砂利石鳴らす雨のつぶ足音に似て外のぞきみる」  (桐子さん2002年6月15日)

これは雨だれの音ですね。初句「ポクポクと」は木魚の擬音語としてよく用いられますから、ちょっとまずいでしょう。それが、帰りを待つ子供の足音にも聞こえるのですね。

添削:
「雨だれの砂利石打てる音がふと吾子の跫音(あおと)に聞こえ外見る」 (桐子)

尻切れトンボ?

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「緑茂る公園のほぼ真中に居る鳩を追い子らと共に」 (沙子さん2002年6月10日

鳩はすっかり人に慣れていて、人が近づいても平気ですね。神社や公園の鳩は特にそのようです。日本では平和のシンボルとして大事にされますからね。一方で、団地などでは鳩の糞公害が問題になっていますが。あおぎりの職場でもそうで、建物全部を白い網で覆うなどして、鳩が寄れないように防御したりしているのですよ。
 この歌、後半が尻切れトンボみたいですね。 

添削:
「鳩らまた公園中央占めるので子らと一緒に追いかけごっこ」 (沙子)

初心者なのに、体言止め(?)のような表現を使うのは難しいですよね。なるほど、こうすると私の思ってたことがきちんと歌になっている感じです。

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